twnovel

harayosy's twnovel #30

140 字は足りぬと誰かが言った。文字数が増えた。タグが本文に入るのはおかしいと誰かが言った。専用タグとなった。画像やファイルが添付できればと誰かが言った。添付機能を搭載した。かくしてtwitterに革命が起こりその名称が変えられた。Mail。誰も使わな…

harayosy's twnovel #31

夜と朝の境目に生きている僕らは、こんなにも多くの言葉と感情を、無機質なデバイスを通して電子の海へと流していく。例え、鯨が飛んでも、鳥が舞い上がっても、この140文字を届けたい貴方が現在時間軸上に存在しなくても、ただキーを打ち液晶に指を走らせ、…

harayosy's twnovel #29

「ははははは!『嘘八百薬』の完成だ!これで少女の語る事柄は全て思いと正反対になる!」「だめだよ博士!いくらそれを飲ませても、昨日博士が言われた『何あの人、キモイ』って台詞は覆せないよ!時間は元に戻せない!」パリン!「この薬は廃棄する」「博…

harayosy's twnovel #28

「ははははは!『語尾に"にょ"をつける薬』の完成だ!これで少女はどんなに恥ずかしくても”にょ”をつけてしまう!」「だめだよ博士!少女の口調は彼女の個性!無理やりな羞恥プレイは禁止だ!」「確かに」…ごくん。パリン!「この薬は廃棄する"にょ"」「博士…

harayosy's twnovel #27

「ははははは!『モブっ娘薬』の完成だ!これで少女はちょっとしか出番がなくても有名になれる!」「だめだよ博士!少女はいつだって主役!脇役なんかじゃ全然ないの!それを忘れないであげて…」パリン!「この薬は廃棄する」「博士!」

harayosy's twnovel #26

「ははははは!『ミスター味っ娘薬』の完成だ!これで少女は変化自在に料理が作れる!」「だめだよ博士!子を娘に変えてうまい事言ったつもりだろうけどミスターって時点で既に失敗だよ!」パリン!「この薬は廃棄する」「博士!」「しかし、需要はあるんじ…

harayosy's twnovel #25

「ははははは!『美薬』の完成だ!これで少女は必ず美少女になる!」「だめだよ博士!美少女は天然モノだから尊いの!薬や整形、化粧マジックは養殖モノのまがいものだよ!」パリン!「この薬は廃棄する」「博士!」*1 *1:今日のついのべの「ははははは!」…

harayosy's twnovel #24

「おはようございます」「…フンっ」すごい挨拶の返し方です、華子さん。先日バイト中に発生した不機嫌タイフーンは現在もなお大荒れ注意報の様子。触らぬ神に…ですが、これではバイトもまともにできません。「あの…」「何よ」「僕、女性の接客は断った方が?…

harayosy's twnovel #23

僕には秘密の能力がある。「味見」。食べ物を見ると、その味が文字となって浮かんでいるように見えるのだ。【もやっ】フライパンの中のハンバーグに浮かぶいつもの。「…はあ」溜息一つ。自分の料理を食べる前に分かるこの力は決して楽しいものではない。「……

harayosy's twnovel #22

夏本番を前にしてむかつくようなこの暑さ。あまりの暑さにへばっていたら、頭上から呆れた様な声がした。「何よ、だらしない」「うるせー」「このくらい気合で何とかしなさいよ」「うるさい幽霊(お前)を何とかしたい」「失礼ね…怪談話でもしてヒヤっとする?…

harayosy's twnovel #21

僕には秘密の能力がある。「味見」。食べ物を見ると、その味が文字となって浮かんでいるように見えるのだ。「バレンタインチョコ!手作りなの!」彼女の恥ずかしそうな嬉しそうな表情。視線を落とせば綺麗にラッピングされた箱の上に浮かぶ…【…ゴム?】…いや…

harayosy's twnovel #20

知り合いにiPhoneが嫌いと公言してる人がいる。それならとXperiaを薦めたら真顔で嫌がられた。「俺…タッチパネルが怖いんだ。前触った時に、突然指が吸い込まれて手首までパネルに…」そんな彼がつい先日姿を消した。無理矢理にiPadを使わされた直後だったそ…

harayosy's twnovel #19

例えばあんたに言えるのが140文字だったとして。日頃の積み重なった鬱憤を晴らすには笑っちゃうほど少ないし、アタシの怒りを静めるには文字数なんて数える自体がバカらしい。…だけど。アタシの気持ちを伝えるのなら140文字は多すぎて。「だいすき」これで十…

harayosy's twnovel #18

『パスワードが違います』「…これも違う、か」ちょっと眼を閉じて再びキーに指を走らせる。『パスワードが違います』メールに添付されてたパスワード付の圧縮ファイル。中身は不明。『貴方が好きだった言葉だよ。わかる?』数年前の彼女からの最後のメール。…

harayosy's twnovel #17

華子さんはバイト先の花屋の店長。仕事中は髪をまとめてる。花に水をやるのが好き。レジ打ちがちょっと苦手。「あーもー」が口癖。白い花と黄色い花をすすめがち。時々植木鉢を抱えながら話しかけたりする。見つかると照れる。「ねー水橋君」僕の名前を呼ぶ…

harayosy's twnovel #16

突然の銃声。ぶちまけられる薬莢と飛び散る窓や壁の破片。目の前にあったテーブルを蹴飛ばしながら盾となるようその場に飛び込む。耳をすまし周囲を見渡し息を潜めて身を隠す。油断は禁物。額に浮かぶ汗をぬぐいながら俺は懐から愛用の銃を…「何やってんの?…

harayosy's twnovel #15

私は雨が大嫌い。「…最悪」「よ、何してんの?帰らないの?」「傘忘れたの!」「怖いなあ、んじゃ俺のに入る?」「え?」「帰り道一緒でしょ?ホレ帰ろ帰ろ」「え、え」「すげー降るよなー。そうだ、飴食べる?飴好き?」私は雨が大嫌い。だけど…このアメだ…

harayosy's twnovel #14

私には秘密の欠点がある。「料理」。食べ物を見ても、どうやって作るのかさっぱりなのだ。『甘いから… 酢?』『塩少々…(ザザー)』『ひたひたになるまで煮込む、と…あ、煙煙』などトラブルは無限大。「お弁当作ったんだ。食べてくれる?」目の前には大好きな…

harayosy's twnovel #13

僕には秘密の能力がある。「味見」。食べ物を見ると、その味が文字となって浮かんでいるように見えるのだ。【美味しい】【60点】【トマトの酸味がなんて清清しいの!まるで(略)】など表現は千差万別。【これを食べるなんてとんでもない!】緊張してる彼女…

harayosy's twnovel #12

俺には小さい頃から纏わりついてくる幽霊がいる。自称永遠の十七歳。実は俺の曾ばあちゃんだ。ちなみに「曾ばあちゃん」「ババア」などと呼ぶと背中からポルターガイストで襲ってくる。「…地縛霊のくせしてついて来んなよ」「だって、ほら、あたしって血縛霊…

harayosy's twnovel #11

上も下も前も後ろも右も左もわからない。吸い込まれそうな暗闇とぶつかりそうな程の無数の煌き。突然の事故で船外に放り出された僕は、ふらふらと宇宙を漂う遭難者だ。救難信号はOK。後もう少しで救助されるだろう。…問題なのは。肩に乗っかる事故の原因。懐…

harayosy's twnovel #10

明日の今頃僕の『身体』は橙色の光に包まれて、皆が見上げる空に消えていくんだろう。何度も回った地球の姿は、すごく懐かしくてホッとして…そして少し寂しくて。僕も知らないカプセルの中身。もしも、うまく『お使い』できてたら。褒めてくれたら嬉しいな。…

harayosy's twnovel #09

「…綺麗さんマジスカ」「何だ田中」「いやビールのつまみにシュークリームはあんまりじゃ」「車の修理の礼にと貰ったものだ。手作りだ、美味いぞ?それとビールも宮守の手作りビールだ」「両方もったいない!」「言うじゃないか甘いモノは別腹だって」「味は…

harayosy's twnovel #07-08

駅前にある花屋の店長の名前は華子という。花屋らしい名前ですねと言ったら「私は花子が良かった」と返された。「へえ珍しいですね」「そう?華って蕾ってイメージじゃない?花の方がこう咲き乱れてるというか賑やかな感じがするし。華道よりも花束とか。そ…

harayosy's twnovel #06

吹き付ける風が気持ちいい。俯きがちの自分の顔が自然と上を向いていく。世界はこんなにも涼しげで何て気持ちいいんだろう。暗く悩んでいた自分が馬鹿らしい。爽快な気分。なんだ、こんな簡単に気分転換できるなら『ビルから飛び降りる』なんてしなけりゃ良…

harayosy's twnovel #04-5

巷で有名な呟きを始めてみた。半日とかからずフォロワーが5桁を突破。「おお、俺ってすごくね?」満員電車で揺られながら、俺満足。何気なくフォロワーを見ていたら妙な人達を発見。『満員電車なう。にんまり笑ってる』『昨夜は二回寝言言ってたよね』(続く)…

harayosy's twnovel #03

幽霊なんて信じない。と言ったら鼻で笑われた。「目の前にいるじゃない」「あのな、幽霊ってのは読んで字のごとく幽かな霊の事を言うんだ。日常生活をしっちゃかめっちゃかにかき乱す阿呆を俺は幽霊と認めない。…悪霊とか騒霊とかならぴったしだな」ポルター…

harayosy's twnovel #02

新しく引っ越したマンションでは毎朝出勤前にエレベーターで会う女性がいる。エレベーターのドアが開くと、右奥隅に彼女がいた。軽く会釈してボタンを押す。最上階のここから一階まで。…最上階?今更ながら気づく。エレベーターが動き出す。彼女の視線を感じ…

harayosy's twnovel #01

とある男女の会話。「夏だし」「何だよいきなり」「夏だし」「顔近づけんな、うっとおしい…って、邪魔すんな課題やってんだよ、俺は」「夏だし」「分かった聞いてやるから顔どけろ。んで?何だよ」「夏だし…あたしは肝試しがしたい!」「自分が幽霊のくせし…

 twnovel はじめてみた。

ついとさんの仕様140文字の中で短い話を作るハッシュタグ「#twnovel」を始めてみた。 なるべく続き物にならないように。 一話完結のオチありで。#twnovelの分だけtwitterから抜き出そうと思います。